多くの企業担当者がECリニューアルの際に直面する課題が、「どのECプラットフォームを選択すべきか」という点です。私が年間約200回以上の商談を経験する中で、この問題に直面する企業は約8割にも上ります。長年EC業界に携わる一人として、選択に際して考慮すべきポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。

ECリニューアル時に検討が必要な項目

1. ECプラットフォームの拡張性とカスタマイズ性

  • 重要性: 企業が成長するにつれて、ECサイトの要件も変化します。将来のニーズに対応できる柔軟性があるプラットフォームを選ぶことが重要です。
  • ポイント: プラグインやAPIの利用が容易か、カスタム開発が可能かどうかをチェックします。

2. ランニングコスト

  • 重要性: コストパフォーマンスは、選択の大きな要素です。初期費用だけでなく、ランニングコストも含めた全体的な費用を理解する必要があります。
  • ポイント: 月額料金、トランザクション手数料、追加機能の費用など、全てのコスト要素を考慮に入れます。

3. サポート体制

  • 重要性: 問題が発生したときに迅速に対応してもらえるかどうかは、運用の安定性に直結します。
  • ポイント: サポートの可用性(24/7サポートがあるか)、対応の速さ、サポートの質を検証します。

4. セキュリティ

  • 重要性: 顧客データの保護は、信頼性の高いECサイト運営には不可欠です。
  • ポイント: データ暗号化、PCI DSS準拠、定期的なセキュリティ更新といったセキュリティ基準を満たしているか確認します。

5. ユーザーエクスペリエンス

  • 重要性: 最終的には、顧客にとって使いやすいサイトが、売上を伸ばす鍵です。
  • ポイント: レスポンシブデザインのサポート、高速なページ読み込み速度、直感的なナビゲーションを提供しているか評価します。

6. マーケティング施策が強化できるツール・オプションの有無

  • 重要性: 効果的なプロモーションや顧客コミュニケーションは、ECサイトの成功に欠かせません。
  • ポイント: SEO管理機能、メールマーケティング、SNS連携機能など、マーケティング活動をサポートするツールの有無を確認します。

このように、ECプラットフォーム選択にあたっては、短期的な利便性だけでなく、長期的なビジョンに合致するかどうかを慎重に検討することが肝要です。各ポイントを丁寧に比較し、貴社の事業戦略と最も相性の良いプラットフォームを選択が必要です。

よくある問い合わせ1位「どこにすればいいのかわからない」

ECサイト運用担当者がリニューアルを検討する際に直面する課題として、「どのECプラットフォームを選べば良いのかわからない」というものがあります。この問い合わせが多い理由は、多くの企業でEC担当者が他の業務を兼務しており、限られた情報と時間の中で最適な選択をすることが難しいためです。

そもそもなぜこのよう問い合わせが多いのか

実際に話しを伺う中で、以下のような点が挙げられると思います。

情報の偏り

インターネット上でECプラットフォームに関する情報を検索すると、上位に表示されるのは大抵そのプラットフォームの良い面ばかりを強調した内容や、特定のプラットフォームを提供する企業の広告です。これでは、各プラットフォームの実際の性能や適合性を正確に判断することが困難になります。

業界の慣習による影響

同業他社が使用しているECプラットフォームを選ぶことが多いですが、他社の選択が自社にとって最適であるとは限りません。自社のニーズと目標に合った選択をすることが重要です。

一方的な提案の問題

制作会社との商談で、特定のプラットフォームを強く推されることがあります。しかし、これは制作会社の得意分野やパートナーシップに基づく提案であり、必ずしも企業のニーズに最適とは限りません。

比較の難しさ

複数のプラットフォームを横並びで比較し、それぞれのメリット・デメリットを理解することは容易ではありません。情報が多すぎて判断材料を整理すること自体が一苦労です。

このような状況を踏まえると、「正しい判断がしにくい」「情報過多で混乱する」という状況になりがちです。

結論、ECプラットフォームが全てではない

結論、どのECプラットフォームでリニューアルしても売上は大して変わりません。重要なのは中長期の目標が何で、現状の課題は何なのか、そもそもECプラットフォームだけの問題なのかも整理して切り分ける必要があります。

ですので、リニューアルして売上が上がりますか?という質問をされることもありますが

それはわかりませんと私は回答しています。

そもそも売上が上がらないことだけが本当の課題なのであれば、マーケティングに課題があることが多く、そもそも十分なプロモーションを行っているのか、ECの運用自体に課題がないかを整理する必要があります。

例えば、100万 / 月 売り上げていて、それを1,000万 / 月 にしたいのに、プロモーションの予算が5万しかなければ、そもそも目標設置に対しての施策が弱すぎます。

リニューアルはこれらの課題を整理しつつ、改善することで担当者がECマーケティングに注力できるようになるからこそ、売上が改善していくものだと私は考えています。

ですので、ECプラットフォームをまずはどこにして、そこからマーケティングを考える!のではなく逆で、中長期でこういうことを目標に立てていて、現状ここが課題となっている。そのなかで機能面はこういうのが必要で、費用面や運用面を含めた比較検討をすべきだと思います。

✗ ECプラットフォーム先行で選ぶ → できることを考える

◯ 目標と課題の整理をする → 叶えられるECプラットフォームを選ぶ

確かに、ECプラットフォーム選定のプロセスにおいて、提供企業の情報提供がPR目的であることは一般的です。この情報は、実際にどのプラットフォームを選ぶべきかの判断材料の一つとして有用ですが、決定を下す唯一の基準にはなり得ません。そのため、様々な情報源からの情報を総合的に考慮し、冷静な判断を下すことが重要です。

具体的な検討をするには

次のステップで検討を進めることをお勧めします。

  1. 資料請求や商談を通じた情報収集: 提供企業から直接情報を得ることは大切ですが、その際は、推奨されるプラットフォームのメリットだけでなく、デメリットについても積極的に問い合わせることが重要です。実際の使用感や限界について、できるだけ具体的な事例を聞くようにしましょう。
  2. 現在のプラットフォームの再評価: リニューアルの検討を始める前に、現在使用しているプラットフォームの長所と短所を改めて評価します。不満点があっても、他の選択肢と比較した場合に、現在のプラットフォームが最適である可能性もあります。この過程で、外部の専門家に相談することも有効な手段です。
  3. 比較と評価: 複数のプラットフォームを横並びで比較する際には、機能性、コスト、サポート体制、セキュリティ対策など、企業のニーズに合った複数の要素を考慮します。この比較を行うことで、それぞれのプラットフォームの強みと弱みが明確になり、より適切な選択が可能になります。
  4. 実際に体験する: 可能であれば、デモアカウントやトライアル期間を利用して、実際にプラットフォームを体験することが推奨されます。直接触れることで、日々の運用のしやすさや、直面するであろう問題点をより具体的に理解できます。

最終的な選定では、単に機能やコストだけでなく、将来のビジネスの拡大や変化に対応できるかどうか、という観点も含めた総合的な判断が求められます。このプロセスを通じて、自社に最適なECプラットフォームを選ぶことができるでしょう。

選択肢はどのくらいあるのか

存在しているECプラットフォームは数多く存在し、リニューアル時にすべての情報を得るのはかなりの労力と時間がかかりますし現実的ではありません。

プラットフォームが先、ではないですが、比較検討するものがどんなものがあるのかは知っておく方が良いでしょう。

ポイント

まずはECプラットフォームの種別を大枠で把握。大きくわけてECプラットフォームは2カテゴリ

①モール系

楽天 / paypayモール / amazonがこちらにあたります。集客力が強いかわりに小売では確実に価格競争になりますので、各種モールのイベントのタイミングを見計らって施策を打ちつつ、日々のPDCAと広告運用はかかせません。今回は自社ECのリニューアルにフォーカスしますので、モール系については割愛します。

②総合通販系 / リピート系

様々な商品を購入させる総合通販系と、サブスクのように定期購入をさせるリピート系の2つにここは分かれますが、商材特性に合わせて選択するのが良いでしょう。

例えば、定期購入するのが向いている化粧品などが多く、ユーザーにとっても利便性が高い商材はリピート系に向いたECプラットフォームを選択しましょう。

総合通販系

エンタープライズEC*EC単体で年商3億〜

ec being / w2 commerce / ebisumart

ASP系

future shop / shopify / make shop / e-store /  colorme / base / stores など

リピート系

サブスクストア / ec forceなど

ARTPEACE流 ポイント2 各ECプラットフォームの特徴を知る

エンタープライズEC

EC事業単体での年商が3億以上から検討に入る、いわゆるエンタープライズECです。

基幹システムとの連携や店舗とのポイント連動や細かな機能面の実現が可能です。ここまで来ると、構築費用も要件によって大きく異なりますし、各プラットフォームの違いは非常にわかりづらいので、やりたいことを整理した上で各社とコンタクトを取る方が良いでしょう。弊社のような制作会社が間にはいることでよりフラットな立場で意見を出すこともできます。

売上目安:EC単体の売上が年商3億以上

参考構築費用:1,000万〜 

構築期間:5ヶ月〜

ランニングコスト:30万〜 / 月

ec being(イーシービーイング)

概要:言わずとしれたシェアNo.1のECプラットフォームです。

1,500サイトの構築実績と国内最大の開発500名、マーケティング200名、営業、データセンターの人材体制によって、「ecbeing」の強みである製品力・個別対応力・技術力・24時間365日のサポート体制・マーケ戦略・マイクロサービスを実現し、お客様のビジネスに合わせたECサイトをご提案してくれます。

W2 commerce(ダブリューツーコマース)

概要:ECサイト構築やマーケティングシステム、CRMサービスの機能が含まれた自社オリジナルEC・CRMパッケージ『w2Commerce』。商品管理や運用効率化など800以上の機能を搭載。また、W2 Repeatというリピート系通販用のサービスもあります。

ebisu mart(エビスマート)

概要:ASPサービスの「システムが古くならない」メリットとパッケージソフトの「他システムとの連携等のカスタマイズができる」メリットの両方を備えており、クラウドサービスでありながら顧客の様々な要望に柔軟に対応することが可能です。

ASP系

上記のエンタープライズECもASPに含まれるものもありますが、私は上記以外のものをASP系ECとカテゴライズしてます。「細かな開発まではできないけど、プラットフォームが持っている機能を活かしながら活用すれば、スケールしても十分に対応が可能」です。

売上目安:EC単体の売上が年商100万〜

参考構築費用:50万〜 

構築期間:3ヶ月〜

ランニングコスト:0〜5,6万〜 / 月

future shop(フューチャーショップ)

概要:日用品・雑貨・インテリア 日用品・雑貨・インテリアECに必要な、商品の魅力が伝わるデザインの実現、多品種で豊富な商品点数。 多品種でも探しやすいECサイトが実現できるのが、futureshopの強みです。 また、お客さまに会員になっていただき、買い続けていただく仕組みを実現できます。運用サポートのリテラシが高く、1度の電話でだいたいのことが解決できます。

売上目安:EC単体の売上が年商1,000万〜

参考構築費用:200万〜 

構築期間:4ヶ月〜

ランニングコスト:4万〜 / 月

shopify(ショッピファイ)

概要:日本で一番勢いのあるECプラットフォームと言っても過言ではありません。使いやすさと豊富な機能が魅力で、初めてECサイトを立ち上げる人でも簡単に利用できます。 また、豊富なデザインテンプレートやカスタマイズの自由度も魅力で、独自のブランドイメージを反映させられます。 さらに、セキュリティや決済処理などの面でも高い信頼性を持っています。

売上目安:EC単体の売上が年商300万〜

参考構築費用:150万〜 

構築期間:4ヶ月〜

ランニングコスト:1万〜 / 月

make shop(メイクショップ)

概要:他社のネットショップ構築サービスと比較して低価格なのが特徴です。 ご要望に応じて選べる料金プランをご用意していますが、同じような機能を持つサービスと比較すると、圧倒的にコストパフォーマンスに優れています。

売上目安:EC単体の売上が年商300万〜

参考構築費用:150万〜 

構築期間:4ヶ月〜

ランニングコスト:1万〜 / 月

shop serve(ショップサーブ)

概要:通販システムを扱う単なるシステム屋ではなく、マーケティングサービスまで提供しています。決済代行も独自で行っており、決済手数料の優遇と日々アップデートをしているので不正利用の対策もされています。ストア専属の担当がつくこともメリット。

売上目安:EC単体の売上が年商300万〜

参考構築費用:150万〜 

構築期間:4ヶ月〜

ランニングコスト:1万〜 / 月

aiShip R(アイシップアール)

概要:2000社超のECサイト構築実績!デザインや機能カスタマイズ可能、セキュリティに強いAWS上で動くEC運営が月額9800円から。充実サポート、モバイルファースト設計に定評があります。その他、aiShip RENTALやGIFTといった特化したサービスも展開してます。

売上目安:EC単体の売上が年商300万〜

参考構築費用:150万〜 

構築期間:4ヶ月〜

ランニングコスト:1万〜 / 月

スタートアップEC

ランニングコストを極力安く、だけれどもECを始めるにあたって必要な機能は欲しい!という企業におすすめです。リニューアルの際にはある程度売上が取れている企業がほとんどなので、

BASEからBASEにリニューアル、といった形は弊社では経験したことがありません。

今回はスケールしたことを想定したリニューアルが前提ですので、説明は割愛します。

売上目安:EC単体の売上が0円〜

参考構築費用:0円〜 

構築期間:1ヶ月〜

ランニングコスト:0円〜 / 月

color me  / base / stores

上記は新規立ち上げ時に検討することが多く、弊社が取り扱う中でリニューアル時の検討に挙がらないことが多いので割愛します。

制作会社の選定ポイント、付き合い方

弊社も制作会社なので、弊社が有利になるように書きたいのですが、冷静に考えると以下のポイントは非常に重要だと思います。商談時は基本的に営業は口がうまいので、ついつい乗っかってしまうことも多いと思いますが、以下の2つは見極める良いポイントとなると思います。

ポイント1 EC運用をしたことがある企業か。オープン後のサポートはどういった内容か=形だけのECにならないか

見た目がきれいなECはある程度経験を積んだ制作会社なら作れます。ただし、運用面も考慮された設計や、中長期の目標までヒアリングした上で構築できるかどうかは、EC運用自体をその制作会社がやっているかどうかは実力に大きく影響します。

安いことに越したことはないですが、安く作って、運用がわからない、運用がしにくい、売上があがらない、何をしたらいいのかわからない、では本末転倒です。

EC運用をしているからこそ、大変さもわかり、オープン後にどういったサポートが必要なのかもわかっているはずなのでぜひ聞いてみましょう。

ポイント2 フラットな意見をくれるか、総合的な知見があるか

担当者が求めているのは、言ったものをそのままやってくれる制作会社でしょうか。それは当たり前ですが、時にはご希望に対して、理由を添えて必要がないと言ってくれたり意見出ししてくれる企業のほうが良い場合も多いです。もちろんなぜそう考えるのか、根拠と代案は知見がないと提案ができないので、正直な意見だしをしてくれる企業のほうがしっかり考えてくれているとは言えるでしょう。

ポイント3 同業の実績ばかりで判断しない

例えばスポーツ用品のECリニューアルで、同業他社の実績が制作会社がない場合でも提案自体の内容は良い可能性は十分あります。他業種で行っている手法をうまく取り入れながら実装してくれる場合もあります。逆に同業の実績が多い場合はその業界のことの知見は多いかもしれませんが似通ったECができる可能性もいなめません。

ポイント4 提供できる内容は隠さず制作会社に開示する

こちらもかなり重要なポイントです。売上が今いくらで、目標はいくらなのか、言いづらい場合もあるかもしれませんが、制作会社からすると売上によってもプラットフォームはもちろんのこと、そもそものご提案内容が変わってきます。また、NDAを締結した上でGA4のアクセス権限付与もしていただくと定量的な分析もしつつ、アドバイスができます。

このあたりが何もわからない状態だと、もはや何を提案すればいいのかわからず、当てずっぽうでなんとなくの提案しか出てこないでしょう。

まとめ

リニューアル時には短期間で一気に情報を取得することが多いからこそ、情報に溺れてしまうことが本当に多く、社内の色んな意見にも振り回されがちです。

中長期でどういった目標を立ててECリニューアルを行うのか、現状の課題が何なのかを議論し、解決させるとても良い機会であることは間違いありません。

どの情報も正しいですが、自社の課題にマッチしたものかどうかはまた別問題です。

今回取り上げた内容は過去私が実際に伺った内容を元に書いたので、少しでも参考になれば幸いです。

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