EC業界に約10年ほどおりますが、年々越境ECというワード自体が薄れていっている気がしています。というのも、間違いなく世界中のEC展開を見ていると、コロナ禍を経たECは、もはや越境がなんら特別でないものだと感じるようになりました。

その中でも、急速に成長を遂げる中華系ブランド、TEMUとAli Expressに焦点を当て、その魅力と市場での立ち位置、そして越境ECを展開する上での課題点について深掘りしていきます。

あなたはもう知っているか?大注目の中華系ブランド2社

中華系ECブランドとして、まず頭に浮かぶのは「Alibaba」や「JD.com」だと思います。しかし、最近ではShein、TEMUとAli Expressもよく見かけると思います。Googleで何か商品を検索すると必ずといっていいほどTEMUが扱う類似商品がGoogle Shopping枠で表示されることも多く、格安のため怪しむ人も多いのではないでしょうか。

TEMUは、驚異的な価格設定と豊富な商品ラインナップで、短期間にその名を世界に知らしめました。一方のAli Expressは、Alibaba Groupの一員として、世界中のバイヤーと中国の製造者を繋ぐプラットフォームとして、長年にわたり信頼を築いてきました。これら2社に加え、忘れてはならないのが「Shein」です。ファッション領域において圧倒的な成長を遂げており、特に若年層を中心に圧倒的な支持を得ています。

前回Sheinについてブログを書いておりますのでもしよろしければご覧ください。

2社の特徴とECマーケティング

TEMUとAli Express、この2社はどちらも中国発の越境ECプラットフォームとしての共通点を持ちながらも、その運営戦略やターゲット層において大きな違いがあります。

TEMU:最新のトレンド商品を極めて低価格で提供することに重点を置いており、消費者に「お得感」を強く訴求しています。マーケティング戦略としては、SNSを通じたバイラルマーケティングに力を入れ、若年層を中心に幅広い層からの注目を集めています。わかりやすいキャッチフレーズも魅力。

Ali Express:一方で、Ali Expressは商品の種類において圧倒的な多様性を誇り、ホビー用品から家電、ファッションアイテムまで幅広くカバー。世界中の小売りバイヤー向けのプラットフォームとして、また個人消費者に対しても、高品質な商品をリーズナブルな価格で提供することに注力しています。

実際に体験してみた感想 UI / UXについて

TEMU

アプリをダウンロードしてユーザー登録すると、すぐに優待クーポンや限定施策が次々と出てきて購買意欲を上げてきます。

TEMUのアプリは、ユーザーが容易にナビゲートできるよう直感的な設計が施されており、特に初心者にとっては非常に使いやすい印象です。

実際に購入するときも、日本語にローカライズされている印象がありました。郵便番号を入れるときちんと日本の住所が登録されます。

2,000円以上の注文が必要ですが、キャッチフレーズ通り「億万長者気分」になれます。2,000円も注文するのに少し悩むくらい全てが安く、これだったらこれも欲しいと試したくなります。

また、注文後、8時間以内なら同梱ができることには驚きました。

さらに、注文後のメールで配達遅延した場合にはクレジット(ポイント)として一部返金があるとのこと。越境ならではの配慮ぶりです。

Ali Express

一方で、Ali Expressは商品の種類が多岐にわたるため検索機能が充実しており、詳細なフィルターを使って欲しい商品を見つけやすくなっています。ただ、感じたのはUIがやや複雑で、初めて利用するユーザーには少し慣れが必要そうです。Ali Expressのアプリとウェブサイトは、多言語対応しており、世界中のユーザーが自分の言語でショッピングできる点は大きな強みです。

アプリで開くと同じく初回のハードルをかなり下げる施策が度々表示されます。

あくまで個人的な感想ですが、扱っている商品の幅はAli Expressのほうが広そうな印象を受けました。その分、買う商品があまりはっきりしないままアプリを見るとあっという間に時間が過ぎます。中には某有名ブランドに近いものもちらほらあり、ユーザーが情報を識別するスキルも試されそうです。

注文から進んでいくと、決済画面は課題がありそうで、ローカライズがまだまだされていませんでした。県は英語で記載されていて、その先に行くと漢字順で並んでいるのでかなり探しづらく、少し難易度が高めです。また、住所を選択しようとするとエラーが表示されたり、サポートに連絡ができない(ボタンが押せない)などUIが発展途上な印象がありました。これらを見るとTEMUのほうに軍配が上がりそうです。ただ、Ali Expressでしか扱っていない商品も多く、似通ったものも多いですが比較してみても良いでしょう。

Ali Expressで優れていると感じたのは発送の追跡です。こちらが確認せずとも発送された段階から続々とステータスが変更され、逐一メールが飛んでくるので今どのあたりに荷物がいるのかわかります。口コミで荷物が届かないようなものもあったので、そういったことを受けて改善しているのかもしれません。

課題点と今後の越境事情

今まで体験したことないような価格の低さと配送の速さは非常に魅力的で、国内のECとさほどスピード感も変わらないところまで来ていると思いますが、一方で課題も出てきています。

カード情報の不正利用

TEMUを検索するとクレジットカードが不正利用された投稿が数件見当たり、アメリカのGrizzly researchによるとTEMUの情報追跡がマルウェアであると報告しています。

https://grizzlyreports.com/we-believe-pdd-is-a-dying-fraudulent-company-and-its-shopping-app-temu-is-cleverly-hidden-spyware-that-poses-an-urgent-security-threat-to-u-s-national-interests/

真偽は不明ですが、ECを利用するにあたり個人情報の入力は必須ですのでどのサイトでもいつ不正利用されてもおかしくありません。ユーザーは最新の情報と共に、自分の身は自分で守る必要があります。

環境や社会への影響

過剰生産と廃棄物: 大量生産モデルはしばしば過剰生産を引き起こし、それが直接的に廃棄物の増加につながります。製品が需要を超えて生産される場合、余剰分はしばしば廃棄され、これが環境汚染の原因となります。

資源の過剰消費: 低コストでの生産を可能にするために、自然資源が過度に消費されることがあります。これには、水資源、石油由来の素材、レアアースなどが含まれ、地球の持続可能な利用に逆行しますし、SDG’sにそぐわない可能性があります。

大量生産を支える工場では、労働者の権利が十分に保護されていない場合があります。長時間労働、低賃金、安全基準の欠如などが指摘されることが多く、これらは社会的責任の観点から問題視されています。

これらの懸念点に対応するためには、TEMUやAli Expressといったプラットフォームだけでなく、製造者、消費者、規制当局が協力し、持続可能な生産と消費のモデルへの転換を目指す必要があると考えられ、環境に優しい材料の使用、公正な労働条件の確保、品質管理の強化、透明性のあるサプライチェーンの構築が将来的に必要だと感じています。

越境ECの市場は急速に成長していますが、その道のりにはまだまだ多くの課題があると言えるます。例えば、国際配送の遅延や高額な送料、関税問題などが消費者の購買意欲を削ぐ要因となっています。昔ほど意味不明な日本語表記が少なくなったものの、言語や文化の違いによるコミュニケーションの障壁も依然として大きな課題です。

TEMUとAli Expressは、これらの課題に対して異なるアプローチをとっていて、TEMUは、主にアメリカ市場をターゲットにしており、配送網の拡充やローカライズ戦略に力を入れています。Ali Expressは、世界各国に倉庫を設置し、ローカル配送を強化することで、配送時間の短縮とコスト削減に努めています。

越境ECの将来については言うまでもなく日々変化していて、これらのプラットフォームが直面している課題は、技術的進歩や国際協力によって解決される可能性が高いです。DXの進展は、より多くの企業にとって国境を越えたビジネスの機会を提供し、消費者にとってもより豊富な商品選択肢とより良い購買体験をもたらすでしょう。

こういった世界の動向を見極めながら、自社の越境EC戦略を計画的に進めていくことが求められます。TEMUやAli Expressの事例から学び、市場のニーズを捉え、EC戦略を立てることが成功の鍵になると言えます。

越境EC市場はまだまだ発展途上であり、無限の可能性を秘めています。国内市場での成功を足がかりに、世界へ発信する準備を今から始めましょう。

越境に関する記事は以下でも紹介しております。

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