ECストアの運営においての日々の業務は多岐に渡ります。ページ作成、更新、商品登録、ささげ、カスタマー対応、発送作業、SNS、広告運用など、どの業務もストアを滞りなく運営し、売上を確保するための大事な要素です。担当者個人やチームの業務範囲はストアにより変わりますが、規模が大きくなるにつれ、すべて一人でこなすことは不可能。また社内のリソースだけでは対応できないことも多く、さらに今以上に売上を伸ばそうと思うと、予算がいくらあっても足りずいろいろなバランスが崩れてきます。

そこで数ある業務を”費用対効果”と”専門性”を軸に4つのパーツにわけてみました。サイト運営においてどこがアンバランスになっているのか?課題を見つけるヒントが隠れているかもしれません。

コストバランスを考える 4つのパーツ

※ここでいう費用は時間とコスト、効果は売上または、セッション数増減などの数値を含んでいます。専門性については作業自体の難易度と専門性の有無を基準に考えます。また、厳密にいうとEC運営にまつわる業務はまだまだたくさんあるのですが、メインとなる業務を取り扱います。

1, 費用対効果が見えやすい×専門性低い

・ページ更新
・メルマガ作成
・商品登録
・受注関連(カスタマー対応、出荷指示)
・物流 など

作業自体は専門性や難易度は低いですが細かい作業が多いためミスが起こると売上が下がったり、クレームが起こったり、売上に直結する重要なパーツです。その一方ブランドとしての基本ルールさえ整備すれば外部におまかせしやすいパーツでもあります。このパーツはとにかく毎日の作業、また売上やSKU数に比例して増減するので、リソースを奪われ苦戦するパターンも多いかと思いますが、簡略化する方法もいろいろあります。例えばカスタマー対応なら、「チャットボットツールを導入する」「ご利用ガイドページを見直して問い合わせ件数自体を減らす」など、作業をコンパクトにする方法があります。

登録作業や受注処理などはルールを決めやすいのでマクロを使って自動化することで、工数削減だけでなく人的ミスの削減もできます。売上件数により作業が増減する物流やカスタマー対応については外注することで、社内リソースに過不足が起こることを減らせます。しかし、ユーザーとの接点になる重要な部分なので、梱包状態や、ユーザーへの返答内容ひとつとってもブランディングが行き届いているか、目を光らせておく必要があります。

2, 費用対効果が見えやすい×専門性高い

・ページデザイン、ページ作成
・撮影
・広告運用(リスティング広告など)
・MD(商品計画)など

小規模サイトであればECにまつわる業務を担当者一人ですべて回す事は可能ですが、ブランドとしてクオリティを担保することは売上に直結しますので撮影やデザインは専門の業者へ外注するなど費用をかけたい部分です。しかし当然ですがこちらも費用対効果を注視しなくてはバランスが保てません。例えば、ページ作成であれば定型のコンテンツをテンプレ化しコーディング知識がなくても簡単に作成できるようにしたり、撮影であればメインの画像やモデルカットなどは費用をかけて外注するかわりに詳細カットは社内で撮影する、など、費用のかけどころとおさえどころを調整する必要があります。

広告運用は費用対効果は見えやすいですが、目的やターゲット、予算などに合わせてどの広告をどのくらい出稿するか選定したり、目的や予算にみあった成果を出すには、専門的知見が必要になりますので、プロに外注することをお勧めします。

MDにおいては、ユーザーのニーズがこちらの思惑とかけはなれていたり、売れ筋がすぐにフォローされないなどの問題が起こると、ファン離れや売り逃がしに直結します。コロナ禍での店舗ばなれの流れなどもふまえると、実店舗があるブランドの場合は特に、1店舗という位置づけに留まらせるのではなく、WEB独自の解析の結果と十分に連動したMDを実行する必要があります。

3, 費用対効果が見えにくい×専門性低い

・SNS、ブログ更新
・競合、ECトレンドリサーチ
・UI改善施策ハンドリング など

費用対効果が見えにくい=後回しにされがちな作業になりますが、目先の売上になるか定かでなくても継続して行ったり、地道にPDCAを回すことでじわじわと効果を発揮してくるパーツです。UI改善施策ハンドリングについては費用をかけなくてもできることが意外とあります。メニュー表示やフォーム改善など運用担当レベルでもユーザー目線で定期的に改善点を洗い出し、修正を繰り返すことが地味に売上に響いてきます。SNSやブログの更新も、なかなか効果が見えにくい地道な作業ではありますが常に新しい情報を発信しユーザーを飽きさせない工夫をしたり、リピーター育成につなげたり、縁の下の力持ち的なパーツです。

またSNSやブログはかつてはブランドからの一方的に情報を配信するツールでしたが、 ユーザーとより近い距離でコミュニケーションをとれる方法として、ユーザーのSNS投稿やレビューをサイトに組み込む機能を追加することで、よりユーザーのリアルな声をサイトに反映する事もできます。ブランドからの発信と並行して取り入れることで、ブランドを身近に感じることができたり、購買への導線が増えることが期待できます。もちろん商材やターゲットによって、適した方法は違いますが、日々の作業の工数を削減し、売上につながる施策へシフトしていく柔軟性が必要になります。

4, 費用対効果がみえにくい ×専門性高い

・プロモーション
・SEO
・サイト解析 など

こちらは主に新規集客にまつわる施策や、ブランディングにかかわる長期的視点で考えなくてはいけないパーツになります。専門的な知見が必要ですので、気合を入れて長期的に費用をかける必要性があります。外部コンサルを入れたり、内部施策で補えない部分の解析行う事は、潜在的な問題解決の糸口となり、結果的に大きな売上とブランド価値向上につながります。ユーザーは常に自社サイトと他社サイトを比較できる環境にあるということを念頭において、いつも客観的視点をもって運用にあたることが大切だと思います。

まとめ

売上を伸ばし、ブランドを成長させることを誰しも目標にかかげるものの、

  • 日々の作業に手一杯で売上を伸ばす行動に時間が割けない
  • せっかく売上が伸びていてもリソースが足りない

こんな悪循環に陥いるケースがよくあります。 また、費用対効果が見えやすい部分ばかりに気をとられていると、いつの間にか古臭い見え方のサイトになっていたり、顧客エンゲージメント向上につながるアクションが取れておらずリピーター離れが起きてしまったり、ブランドの本質的な課題に気付くことができなかったり・・・ 売上が低迷したときにはじめて危うい状態に気づき、あとの祭りとなってしまいかねないので、費用対効果がすぐに見えない業務だからといってないがしろにせず、その重要性を理解しコストバランスを調整する必要があります。

サイトの規模やシステム、扱う商材、ターゲットにより課題は様々ですが、簡略化できる項目をとことん簡略化し、その分長期的に売上を伸ばせる施策に時間と予算を割き、客観的視点をもった正しい解析やリサーチ結果をもとに新しいチャレンジができる環境にある状態が理想だと考えます。 まずはサイトの課題を洗い出し、優先順位を決めてひとつずつ改善していきましょう!

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