ECサイトの規模にもよりますが、EC運用業務は広範囲に渡り、1名でスタートするこはもちろん、企業によっては5〜6人でスタートすることもあるかと思います。1名がすべてを管理しているうちは、1人が把握し、決定することも多いかと思うのでそこまで問題はないかと思いますが複数のチームで動くとなった場合は
そうは行きません。日頃からのコミュニケーションはもちろんですが
売上が立ってくると、分析や、業務効率を見直すことでより効率的な運用ができると考えてます。EC構築するぞ!Shopifyだ!make shopだ!とプラットフォームにばかり目が行き、実際にスタートしたらこんなに大変だった、とならないようにどういったことが必要なのか整理し、オープン後のことも考えながらチーム体制を整えてPDCAを回せるようにするのが良いでしょう。
今回は弊社が考えるチーム体制の整え方についてお話します。

かなり重要!ECをオープンさせてからのチーム体制

D2Cブランドの新規ECの立ち上げをご依頼頂いたときに弊社では運用体制のことを伺います。

具体的には
・担当メンバーの構成
・担当者もしくはチームメンバーのWEBリテラシー
・デザイナーの在籍 or 外部委託

想定される業務内容と、誰が担当となるのか、複数人数がいる場合は、
シートで整理すると把握しやすく、誰に集中しているかもわかりやすい。

ECサイトをオープンした後は多くの業務があり、
どのくらいの時間を割けるメンバーがいるのか、誰がデザインするのか、発送するのか、サイトの分析をするのか、SNS・ブログは誰が運用するのか、 EC構築にフォーカスし過ぎて、全体の業務が不明瞭になりやすい印象があります。
スタートしてみたら、あれもこれも決まってなかった、
誰がやるのかも、判断するのも毎回その場で決定しなければならなく、 最終的にあとに回すものが多くなってしまいがちです。

上記に加え、複数のメンバーが携わる場合、ルールの統一も必要です。特に、商品の受注をしてから、発送までの一連の流れ、 キャンセル・返品が起こったときの対処方法など、担当者が1人なら、まだなんとかなりますが、案外このあたりも見えていない企業も多いかと思います。

ひとまずはじめてから考えるのも、もちろんなしではないですが 一度運用チーム体制を整え、そこから調整することをおすすめいたします。

例えば、体制図を改めて作成し、誰がどの役割なのか、業務が1人に集中していないか割り振った上で決定していくのがいいでしょう。

EC運用で必要な知識

弊社がEC構築をするときによくこのことを聞かれます。
最近では担当者のリテラシが非常に高く、弊社でも驚くこともありますが、何をどうやって学んでいけばいいのか、特にEC担当になり始めた人にとっては情報に溺れてしまい、何から手をつけていいのかわからなくなるのではないでしょうか。

その中で、最低限身につけるべき知識&弊社が考える必要な力をご紹介します。

①エクセルのCSVをはじめとした、ファイルを扱う作業

世の中には多くのECプラットフォームが存在しますが、ほぼすべてのECで使います。Shopifyのように、Google Spread Sheetを利用して商品登録できるものもありますが、
管理画面から直接登録するより、手入力部分をまとめてデータで入力することで大幅に時間の短縮ができます。言うまでもなく、タイピングが速いことに越したことはありません。

②他社ECのリサーチする力、体験する力

いきなり技術的なことでなくなりますが、かなり重要です。
他社のリサーチをするには、ただ単に見ているといつの間にか何を調べているのかが、わからなくなります。
最初のうちは、何をリサーチするのかポイントを絞り、定期的に調査することが重要です。

例えば
・新規ユーザーに対するキャンペーン
・他社ECはどのくらいの頻度でトップページの更新をしているのか
・SNSの投稿内容
・ショッピングガイドの見やすさ
・問い合わせをしたときの返信内容

などがあります。競合他社のECはもちろんですが、業種が違えど自社のECに取り入れてみてもハマるケースがあったりします。

インターネットはとても便利で、調べれば調べるほどいくらでも出てくる一方、実際に購入してみて、どんな配送で来るのか、パッケージ、梱包方法はどうなのか、購入後のフォローメールはあるのか・・・など、とても参考になることが多いです。

好きなタオルで、TENERITAというブランドがあるのですが
配送されて箱を開けたときの感動がありました。
ECはデジタルですが、受け取る商品がデジタルコンテンツではなく、実物の場合、特にこのUXはかなり重要なのではないでしょうか。

箱もしっかりしていて、ショップ袋も
とってもステキだったのでタオルの前にも感動がありました。

③サイトを分析する力

「先週売り上がったこの商品は、たぶんSNSのいいねが多かったからだ。」
「この特集ページの反応がいまいち微妙だった。」

例えばこのような発言が社内であった場合、根拠はなんでしょうか?データに基づく分析は何より強い根拠となります。

では、データに基づく分析はどうやって身につければいいでしょうか。私は特にこのあたりが入社当時は弱く、文系だったせいかとても悩みました。

とっかかりとして、Google Analyticsを学習することをおすすめします。今回はチーム体制についての記事なので詳しくは割愛しますが、Googleが無料で提供しているので、ぜひ毎日少しずつでも学習しましょう。

Google AnalyticsはほとんどのECに埋め込まれていますので、
とても身近なものですが、参照項目がかなり多く、何をどこから何のために見るのか、わからなくなりがちです。

Google Achademyを使って、概要を知り、知識を深めていきましょう。

④ムダに気がつく力

日々の業務のなかで、売上報告や、①でも触れた内容ですがCSVを使った作業は
今のやり方が本当に速いでしょうか。もっと作業効率をあげられないでしょうか?

売上が伸びれば伸びるほど、施策を増やせば増やすほど、
分析はもちろん、社内に報告したり、提案したり、お客様とのコミュニケーションが増えたりタスクはどんどん多くなっていきます。
その中で、商品登録や商品画像のトリミング、切り抜きなど
一定決まったルーティンの作業ならば、自動化できる可能性もあります。

例えば自社の商品エクセルデータを、EC用のCSVにコピペして戻って・・・のような作業はムダですし、間違いが起こる可能性があります。

マクロを使ってプログラムすることで、全部、もしくはある程度は自動化できる可能性はあります。単純作業、自動化できるところは自動化し、自社の商品を売るためにどうやっていくのかマーケティングを考える時間をいかに確保できるのか、ムダに気がつく力、知識が必要だと考えます。

そのためには積極的に他社のECセミナーに出たり、普段から、「この作業はムダではないか、もっと早くできないか?」
と考えながら作業するのがコツです。

EC初心者の育成方法

EC担当者がある程度ECに慣れるころには、社内の新人スタッフを育てるときがやってくるでしょう。
もちろん今まで、自分がやってきた方法を教えていくのも1つの手ですが、守備範囲が膨大で、どこから教えていくのか迷うケースもあるのではないかと思います。
また、EC構築時に弊社にご相談が多くよせられる内容でもあります。

弊社で未経験のECスタッフを育てる際は以下の順番で教えることが多いです。

最初の1ヶ月〜3ヶ月

・ECの商品登録を覚える
プラットフォームの特性、画像の処理の仕方、登録するときにチェックする項目、在庫の入れ方など

・ランキングの更新、HTMLのメルマガ配信、コーディネート登録など、商品登録に付随した作業を学ぶ

・カスタマー管理、対応
テンプレートで返せるもの、毎回内容が異なるもの、その判別などイレギュラー対応含む、日々の問い合わせ対応

・Photo Shopの基本的な使い方
トリミング、簡単な色補正、自動処理のやり方

・倉庫との連携について
発送指示、発送完了までの流れ

4ヶ月〜

・デザイナーとのやり取り、特集ページの考え方、チェックの仕方
・GAIQの取得
・簡単なサイト分析ができるようになる

平均4〜5ヶ月ほどで、EC運用の大枠がわかるようになります。

大事なのが、初心者が今自分はなにをやっていて、この先何を学んでどうやって行くのかを感じながら進むことです。

過去失敗した経験としては、
「とりあえず商品登録」
「ひとまずGoogle Analyticsを学んで」
「SNSの更新をしておいて」
のような、ゴールがはっきりしない教育はかなり人を選びます。何となく、教えていけば何となくできる人が育ちます。

基礎のところはしっかりとフォローして、手放して自分で考えさせるタイミングもきちんとスケジューリングしてのぞみましょう。

おすすめの本

チーム体制を整える上で、おすすめの本をご紹介します。
世の中で数多くの書籍があるなかで、特に私が必要だと感じたものを3つに絞りました。

ECのご担当者が読むのはもちろんのこと、チームメンバーと同じ本を共有し、話合うことで考え方のベクトルも合わせやすいです。

EC担当となったとき、誰もが思う疑問をわかりやすく解説してくれてます。
誰も社内で明確な答えを教えてくれない「ブランディング」と「売上」に関して
答えてくれます。

私は丸一日会議ばかりで終わる日もありますが、必ずこの本のルールに基づいた
開催を徹底してます。ファシリテーター(進行役)を決め、事前準備をし、
ゴールを必ず決めることで、何の会議だったんだろう?という不安が消えます。
時間のムダを省くことでより効率的なチームとして動ける1歩となりえます。

ECで定性的な分析ばかりでは話になりません。もちろん感覚だけでうまくいくのであれば
それがいいのですが、数字による説明、仮説、立証が一番強いですし、
上司や社内での信用を得るのには避けて通れません。

一方で、私のような数字が大嫌いで、数字を見れば目が回ってしまうような人には、特におすすめの本です。
チームを組むときに、必ずしも数字が強いスタッフばかりそろうのはかなり稀です。
弱ければ、学べばいいのです。同じように困っているスタッフにもシェアしましょう。

ART PEACEが考えるEC運用チーム体制の整えかた

ART PEACEが考えるEC運用チーム体制の整えかたは以下だと考えます。

・役割分担をしっかりと決め、ルール化をすすめる。
・運用に必要な知識を身につけ、ムダを省く努力をする。
・関わるスタッフの知識レベルを上げ、自社ブランドに対して共通の認識をもつ。
・チームに新人が入ってきた際の教育フローを組み立てておく。

並べてみると、当たり前のことですが、実際にフタを開けてみると
「あれ?これ誰やるの?」といった項目がで弊社がコンサルティングをしていると、出てくるケースが
あります。チーム体制はECサイトの改善と同じように、定期的にPDCAを回し続け、より強固なものにしていきましょう。
誰もが得意なものを任されるとは限りません。苦手なものでも戦い方を身につければ、いつかチームの誰かを助けれますし、より強固なチーム体制となるでしょう。

今回はコンサルティング、EC構築をする上で、よく直面するEC運用チーム体制の整え方に
ついてお話ししました。少しでもお役に立てれば幸いです。

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