ECストアを運営するならば、ウェブ広告を使ってサイトとブランドの認知を広げていくことは売上を拡大するため、切っても切れない業務です。

ウェブ広告の種類は多岐にわたり、効果をあげるためにこまめに検証したりテストをしたり、思った以上に時間も根気もいります。したがって、専門の業者へ任せている事業者の方も多いことでしょう。

しかし運営に携わる限り、最低限の知識は持っておきたいもの。サイト内のコンテンツやブランドの施策に連動して行うものでもあるので、基礎知識や活用方法は身につけておきましょう。

今回は一般的なウェブ広告の知識と、自社の商品やターゲットにどの広告を選べばいいのかのヒントをご紹介します。

検索連動型広告

Google やYahoo!などの検索結果に、ユーザーが検索した語句に関連した広告文を表示する広告の種類です。

会社名やブランド名といった、サイトを一言で表すキーワードや、ユーザーが検索しそうなキーワードを設定し広告を表示します。

クリック課金制なので表示するだけでは課金されず、興味のない人がクリックする可能性は低いので一般的に費用対効果は高いと言われています。

しかし入札価格 × 品質スコアで表示順位が決まるので、競合が多いサイトや予算を多くかけれない場合は思った通りに表示されません。

また、全く認知されていない商品やサービス(=検索する人がいない)は向きません。ある程度ニーズがある「顕在層」むけの広告と言えます。

キーワード選定は、Google Search Consoleで自分のサイトへ流入した人がどんなキーワードで流入してきているのか、Google広告アカウントで確認ができるキーワードプランナーで入札単価や競合度を調べて選定していきます。

キーワードマッチタイプで、選定したキーワードに対しどの程度厳密にマッチしているかを指定し、広告をクリックさせるため調整し、ある程度運用して、ターゲットやエリアをしぼるなど調整することで精度を上げていきます。

・ヒント
検索される見込みがある商品や、ブランドか?
競合と戦えるだけの予算バランスが取れているか?

・費用感
課金方式:クリック課金

月額20~50万円が平均的と言われているが業種や競合の状況などにより大幅に変わる
商品原価などから算出したCV1件あたりにかけられる広告費×目標トランザクション数で予算設定するのが一般的


ディスプレイ広告

ウェブサイトの広告枠などに表示される画像やテキストなどで表示される広告の種類です。

こちらも、クリック課金制ですが検索した人に表示する検索連動型広告にくらべ表示される場所が多いのでクリック単価が安いのが特徴です。テキストだけでなく画像や動画も掲載できるので、ブランドのイメージも伝えることができます。

「顕在層」以外の、ブランドやサービスを知らない方へ認知させることもできる広告になります。もちろんターゲットを絞ることができるので、表示されるコンテンツやユーザー、エリアや時間帯、検索履歴や興味関心事など、表示したいターゲット層に重点的に表示することができます。

また、このターゲティングでもっとも効果が期待できるのがCookieを利用したリマーケティング(Yahoo!ではリターゲティングと言います。)配信になります。

一度サイトに訪れたけど購入に至らず別のサイトへ訪れたユーザーにバナーなどを配信し、サイトの再来訪を促します。単価が高い商材を扱っていたり、いろいろなサイトで同じ商品が売っていて比較検討されやすい、など購買までのハードルが商材を取り扱っているようなサイトには適した配信になると思います。

逆に単価が低く購買までのハードルが低いようなサイトには不向きかもしれません。また今後Cookie規制により、Cookieによるターゲティングが規制されていくことが予測されます。

・ヒント
パッと見で商品やブランドの魅力を伝えるバナービジュアルを訴求してクリックしてもらえそうか?
Cookieログは溜まっているか?

費用感
課金方式:クリック課金、インプレッション課金、コンバージョン課金(GDN、要件あり)がある
月額20~50万円が平均的と言われているが業種や競合の状況などにより大幅に変わる

インプレッション課金の場合は1,000回の広告表示に対して広告費が加算される。


SNS広告

日本でポピュラーなSNSといえば、Facebook、Instagram、Twitterなどでしょうか。

SNSは今や多くの人の生活に密着している物なので、投稿やタイムラインになじませて配信することでユーザーに受け入れてもらいやすいというメリットがあります。

ブランドからのメッセージや、クリエイティブを訴求できるので表現の自由度も高いです。 ユーザーの細かいデータや、投稿や閲覧履歴からユーザーの興味関心を収集しているため非常に細かいターゲティングが可能で、カスタムオーディエンス設定などで、自社のフォロワーの類似ユーザーへ配信してみるのも、効果を高める手法のひとつです。

TicTocやLINE、PinterestなどのSNSでも広告配信ができます。それぞれ得意な年齢層や、性別などの属性も違っているので、自社製品やターゲットに適したプラットフォームを選択しましょう。

SNSは拡散作用はありますが、そこから購入に至るまでにはハードルが一般的に高いのも現実です。「Instagramで投稿してくれたら〇〇プレゼント」「LINE友だち追加でクーポン配布」など、キャンペーンに絡めた広告配信を行ったり、認知を広げ、検索連動型広告で刈り取るなど、他の広告と組み合わせて施策していくなど、多角的に仕掛けていく必要があります。

・ヒント
各SNSが持っているユーザー属性が自社のブランド・商品にあっているか?
「認知」「フォロワー増」など目的は明確か?

費用感
課金方式:クリック課金、インプレッション課金のほか、
エンゲージメント課金 (クリックやいいねなどのアクション で課金 )
フォロワー課金 (フォロー1件獲得すると課金) などがある

月間30万円前後がが平均的と言われているが、数万円よりスタートし徐々に増やしていくのがおすすめ

アフィリエイト広告

商品やサービスをアフィリエイターが持つウェブサイトやメディア、ブログで宣伝してもらい販売する広告です。

ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)を通してアフィリエイターを募集、提携し、アフィリエイターは自身のサイトやブログで宣伝し、基本的に成約に応じて報酬を得ます。

アフィリエイターが口コミやほかの商品との比較など上手に紹介してくれれば、自社のサイトを見ただけでは購入を決めきれない方の後押しとなるので、他の広告で認知を広め、購買に向けて情報を収集しているユーザーの購入の決め手となることもあるでしょう。


ほとんどのアフィリエイトサイトは「個人向け」に作られているサイトなので、BtoB商材は向きません。また、”化粧品””ダイエット商品”などは多くのユーザーがレビューを調べてから購入する傾向にあるので、効果が出やすいと言われています。

デメリットとしては宣伝方法はアフィリエイターに任せることになるので、思った通り売れなかったりブランディングに反した売り方をされてしまうリスクがあります。

また成約が少なくASPに支払う初期費用や固定費のほうが高くなってしまっては、元も子もないので、ASPを選ぶときはそのASPが得意とする商材、ターゲットとマッチしているのか、どんなサイトに掲載されるのか、手数料など比較検討する必要があります。

・ヒント
細かいブランディングができなくても問題ないか?
商材、ターゲットが合うASPがあるのか?

記事広告

メディアに商品を紹介する記事を出稿する広告です。アフィリエイト広告と違うのは、メディア自体に集客力がある点です。

「ニュースサイト」や「MERY」などの女性向け情報サイト、「VOGUE JAPAN」などの雑誌主催のウェブサイトなどメディア自体に集客力があるフィールドに記事として掲載する手法です。

媒体のブランド力が高いほど閲覧してもらえる機会も当然多くなり、信頼も得られ、記事の内容も読み物として掲載されるので、たくさんの情報量を読んでもらえます。記事の内容もしっかり作りこむことができるので、ブランドイメージや商品を魅力的に訴求できます。

デメリットとすれば費用は1記事で製作費合わせて80~200万円が相場と言われている通り、他のウェブ広告に比べミニマムコストが高いので、小規模なサイトではなかなか手が出ない手法です。

しかし、「今までなかった画期的な商品」や「面白い記事」を掲載することができれば、SNSでバズって思わぬ相乗効果が得られるかもしれません。

・ヒント
予算とリソースをかけることができるか?
自社商品に合った媒体があるか?

以上が主要なウェブ広告の手法になります。
それぞれに向いてる商材やターゲット、必要とされる予算規模が違いますし、組み合わせて効果をあげる場合もあります。

また、広告も日々進化し続けており、今は手動でチューニングするだけでなく、自動でテストを行い効果の低い広告の表示率を下げてくれる、優秀な機能が備わっています。

またCookie規制に対抗して、Cookieに依存しない集客の方法なども登場しています。機能は常にアップデートされてますのでトレンドをキャッチすることも大事なポイントです。

最後に

ECでのみ展開するブランドはとにかくウェブ広告に費用を投下することが、認知と売上拡大の近道と考えられます。しかし、リアル店舗をお持ちのブランドでは少し戦略を検討する必要があります。

ブランド全体として持っている広告予算をどのように配分するか、今までオフラインで行っていた広告をやめて、ウェブ広告にシフトしていきたいという考えもEC化の流れから自然なことですが、オンラインで集客し、実店舗へ足を運んでもらうことはちょっとハードルが高いのに対し、実店舗の顧客やオフラインでのアプローチからオンラインへ集客することは比較的ハードルが低いと考えられます。

オフラインで潜在的な認知を高め、オンラインに集客する方が、方法によっては費用対効果が得られるかもしれません。 ウェブだけにとらわれない幅広い視点でのPR戦略が必要とされます。

いずれにしても、ウェブ広告を上手に活用して、興味をもってくれそうなユーザーをキャッチして、売上や認知を広げていきましょう。

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