コロナ前と比較して、ECサイトの広がりは勢いを増し、店舗での受け取りもあたりまえになったり、店舗とECのポイント連携などちょっと前までは一部企業しかできていなかった機能もかなり広がっています。EC運用担当者から見ても、レコメンド機能や商品説明文生成がAIによって自動化されるなど、裏側の自動化は進んでいます。しかし、まだアナログ対応が求められる部分も多く存在します。
特に、対応が都度異なる複雑な業務の自動化はまだ難しい場合がありますが、毎日のルーティン作業については自動化が可能です。これにより、人的ミスをほぼゼロにすることができるため、定期的な見直しが必要です。自動化といっても、こういった細かな項目から配送関係まで幅が広いですが、本記事では、国内外のEC運用における自動化の最新事例とその可能性について掘り下げてみたいと思います。
目次
海外では積極的な自動化が進む。RPAでEC運用を自動化する最前線:先進的な事例を紹介
RPA(Robotic Process Automation)は、EC運用の効率化と顧客満足度の向上において大きな役割を果たしています。今回は、RPAを利用してEC運用の自動化を成功させている企業の実例をいくつか紹介します。
Amazonの先進的な自動化事例
注文処理と在庫管理の自動化
Amazonは、2021年にKiva Systemsを買収し(現在はAmazon Robotics)ロボットを導入して、倉庫でのピッキング、梱包、出荷準備を自動化しています。このシステムにより、注文処理の速度と正確性が大幅に向上しました。さらに、RPAを活用して在庫管理もリアルタイムで行い、在庫切れや過剰在庫を防いでいます 。だからこそ、注文後すぐに発送まで完了できる俊敏さを実現しています。
参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1203/21/news021.html
Alibabaのスマートロジスティクス
菜鳥(Cainiao)による物流の最適化
Alibabaは、スマートロジスティクスシステム「菜鸟(Cainiao)」を通じて、物流センターでの在庫管理、出荷作業、配送経路の最適化をRPAとAIで自動化しています。特に、Singles Dayのような大規模セール期間中でも効率的な処理が可能で、迅速な配送を実現しています 。
参考:https://levtech.jp/media/article/column/detail_337/
WalmartのRPA活用事例
在庫管理と注文処理の自動化
Walmartは、RPAを利用して在庫管理と注文処理を自動化しています。在庫が一定のレベルに達した場合に自動的に再発注を行い、注文確認メールの自動送信、注文ステータスのリアルタイム更新などを行っています 。
参考:https://procurementmag.com/articles/top-10-successful-robotic-process-automation-strategies
shopifyではDropshippingも自動化するサービスも登場
商品登録と顧客対応の効率化
多くのShopify店舗では、RPAツールを使って商品登録、注文処理、在庫管理、顧客対応を自動化しています。例えば、Shopifyのアプリである「Oberlo」を使うことで、商品情報の自動アップロードや在庫の自動更新が可能です。
大量にある商品の中から売ってみたい商品を選び、自分のECサイトで販売することができるサービスです。
発送は、サプライヤーに発注するだけで直接行ってくれます。在庫、梱包、発送などのコストがなくお手軽にビジネスを始めることができます。
また、チャットボットを導入して顧客対応を24時間行う店舗も増えています 。
Zapposのカスタマーサポート自動化
チャットボットによる顧客対応
Zapposは、RPAを活用してカスタマーサポートを自動化しています。チャットボットを導入し、顧客からの問い合わせに迅速に対応することで、サポートスタッフの負担を軽減し、顧客満足度を向上させています。また、注文処理や返品処理の自動化にも取り組んでいます 。
国内の代表的なプラットフォームでの自動化は??
プラットフォームは多くありますが、shopify以外のプラットフォームではどんな自動化が進んでいるのでしょうか。
Future Shop・make shop
Future ShopやMake Shopは同様に、自動化技術を活用してEC運用の効率化を図っています。以下に、自動化が進んでいる主な領域を紹介します。
商品登録の自動化
• AIによる商品情報生成:商品画像や説明文をAIが自動生成するシステムがあり、商品登録の手間を大幅に削減します。
顧客対応の自動化
• チャットボットの導入:顧客からの問い合わせに自動で対応するチャットボットが導入されており、24時間対応が可能です。
• 自動応答メール:特定の問い合わせに対して、自動で応答メールを送信するシステムが整備されています。
マーケティングと広告の自動化
• パーソナライゼーションエンジン:顧客の購買履歴や行動データを基に、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを自動で展開します。
• プログラマティック広告:AIを活用して、効果的な広告配信を自動で行い、ROIの最適化を図ります。
データ分析の自動化
• リアルタイム分析:売上データや顧客データをリアルタイムで分析し、経営戦略の迅速な意思決定をサポートします。
• レポート自動生成:定期的なレポート作成が自動化されるので、ある程度はこちらを元に社内で議論が深められます。
まとめ
RPA技術を積極的に活用することで、EC運営の多くのプロセスを自動化し、効率化を図っています。RPAの導入により、業務のスピードアップと正確性の向上が実現され、運営コストの削減も可能になってきています。ただ一方で、国内ECを見てみると日本独自の商習慣に合わず、まだまだ自動化がされない部分も多い印象があります。例えば返品・キャンセルが未だ受け付けていないECや、SKUごとに価格設定が異なったり、利率が商品ごと、別々の時間帯で利率が変更になるsale対応もあります。ルーティン作業が難しく、アナログ対応せざるを得ない部分も多く残っているのではないでしょうか。
今後はこのあたりもRPAを活用し、対応するEC運用の自動化が出てくるのも時間の問題かもしれません。全てが自動化されることが良いことではないですが、ムダをなくし、自動化することでよりマーケティングに注力できる時間を確保できるかもしれません。
参考文献
• NetSuite – 20 Top Ecommerce Trends for 2024 and Beyond
• Salesforce – 10 Ecommerce Trends for Online Shopping in 2024