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データから見るEC市場動向(BtoC)
最近の傾向として、販売チャネルを増やすためであったり、実店舗の売上減少を補うためにEC立ち上げを行う企業が多いです。
ただEC事業を立ち上げたものの、何をしたら良いかわからないであったり、うまく売上があがっていない状況になっている企業も多い印象です。
そして目の前の対応で精一杯になり、情報収集もままならない状態になるケースになっている企業が多い印象です。そして断片的な情報を聞き、それを基にEC運用を行ってしまい、失敗しているケースも多いのではないかと思います。
今回は経済産業省が公表している「令和2年度電子章取引に関する市場調査」の情報から、業界動向を確認した上でECで売上を伸ばすポイントをまとめました。
ちなみにリサーチを始める手順として、官公庁資料、業界団体資料、シンクタンク・金融機関資料、民間調査会社資料、新聞・雑誌、民間企業のプレスリリースの順で調べると良いと言われています。官公庁資料は最も客観性が高い情報である一方で、情報量が多いので必要な情報をまとめるのに時間がかかるという特徴があります。
BtoC-EC市場規模の経年推移
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、巣ごもり消費の影響で物販系分野のBtoC-EC市場は大幅に拡大しました。
一方、サービス系分野のBtoC-EC市場規模の伸長率はマイナス36.05%と大幅なマイナスになりました。マイナスの要因は旅行サービス分野の落ち込みが大きく影響しています。
2020年の国内BtoC-EC市場規模(全体)は19兆2,779億円となり、対前年比で830億円の減少になりました。物販系分野の大幅な増加分とサービス系分野の減少分が相殺された形となっています。
BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)
次は、分野別に細かく見ていきたいと思います。
物販系分野のBtoC-EC 市場 市場規模
物販系分野のBtoC-EC市場規模
1世帯あたりのカテゴリーごとの年間平均支出金額
物販系分野のBtoC-EC市場規模の表を見ると全てのカテゴリの成長率が10%を超えています。
一方、1世帯あたりのカテゴリーごとの年間平均支出金額の表を見ると「食品、飲料、酒類」、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」、「化粧品・医薬品」、「生活雑貨、家具、インテリア」カテゴリーの金額は前年を上回っています。
自宅で食事をする機会が増え、食料品等の購入金額が増え、自宅で過ごす時間が増えたことからそれに伴い生活家電、AV機器、PC・周辺機器等の需要が高まったと考えることができそうです。
1世帯あたりのカテゴリーごとの年間平均支出金額の表と、物販系分野のBtoC-EC市場規模の表から「食品、飲料、酒類」、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」、「化粧品・医薬品」「生活雑貨、家具、インテリア」は市場全体の成長に加え、EC市場も伸びたことが分かります。
一方で「衣類・服飾雑貨等」は市場全体が縮小した中で、EC市場規模は増加しているので、販売チャネルが実店舗からECにシフトしたと言えそうです。
サービス分野のBtoC-EC市場規模
サービス系分野のBtoC-EC市場規模
新型コロナウイルスの感染拡大の防止策として、旅行、外食やイベントの自粛が求められたことが原因でサービス系分野のEC市場は大きく縮小しました。
一方で自宅で過ごす時間が増えたため「フードデリバリー」の市場規模が伸び、飲食サービス市場において在宅需要の高まっています。
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模
電子書籍・電子雑誌、有料音楽配信や有料動画配信のようなデジタルコンテンツを商品としたEC市場は大きく成長し、全体で前年比14.90%の伸びとなっています。
ネットショッピングの傾向と展望
ネットショッピングの支出額の推移(2019年~2021年)
2021年上期(1~6月)のネットショッピング支出額は全ての月で前年同月比を上回っています。2020年の物販系分野ECの成長率が高かったので、成長率の伸長が鈍化する可能性は考えられますが、2022年も物販系ECの市場が昨年よりも高くなると思われます。
スマートフォン経由の市場規模の直近5年間の推移
物販系ecサイトにおいてスマートフォン経由の市場規模は直近5年間で3倍以上に拡大しています。スマートフォン比率も高まっており、2020年に始めて50%を超えました。
ECにおいて、スマートフォンは単なる販売チャネルの一つではありません。
オムニチャネルを展開する際にはスマートフォンはクライアントとのコミュニケーションの起点にもなりますし、新しい販売手法(ライブコマースやSNSコマース等)はスマートフォンを使うものが多いので、ECサイトのスマートフォン最適化の重要性は更に高まると考えられます。
データから見るEC市場動向(BtoC)/ まとめ
BtoC分野でのEC市場の伸長に関して、分野別で言及してきました。
「令和2年度電子章取引に関する市場調査」で言及されているその他の内容と一緒に下記にまとめます。
①2020年に発出された一回目の緊急事態宣言により、不要不急の外出を控える呼びかけがなされ、外出機会が大幅に減少しました。このことを契機として、実店舗をビジネスを主体として、BtoC EC に取り組むことのなかった小売業者や製造業者が、実店舗での機会損失をECで取り返すべく、新たに BtoC-EC 市場に参入しています。
②楽天等の大手ECプラットフォームへの出店等をした企業も増加したが、2020 年に見られた顕著なトレンドとして、低価格・無料のEC プラットフォームでの新規のネットショップ開設数が急増しました。
例えば、ネットショップ開設時における初期費用の無料を謳うBASE株式会社の発表によれば、2020年2月時点での同社のプラットフォームを活用するネットショップ開設数は90万であったところ、同年12月時点でその数は130万にも増えたとのこと。他の低価格・無料のEC プラットフォームでも類似した事象が見られることから、中小零細企業によるBtoC-EC市場への新規参入が、新型コロナウイルス感染症拡大によって促されました。
③BtoC分野でのEC市場は拡大しており、この傾向は2022年も継続すると見込まれます。その中で、ECサイトのスマートフォン最適化の重要性は更に高まると考えられます。
EC売上を上げるための要素
ECに限らず販売に関して様々な要素・指標があり、いろんな角度から企業にあった指標を定めているかと思います。
今回は効果的にECで売上をあげるための要素を紹介させていただきます。
売上 = ①サイトのアクセス数 ✕ ②CVR ✕ ③客単価
上記の①~③の要素をそれぞれ日々の業務でどのように改善することが、EC売上を伸ばす考え方で大事なポイントになります。
上記の要素を数字で見える状態にし、結果が見える状態にすることが大事です。結果が見える状態になった上で下記の例の様な施策を行い、それぞれの要素の数字を高める施策を行うことが必要になります。
EC売上を上げるため施策例
①アクセス数を上げるための施策
- 既存アクセス流入経路に対する広告
- インフルエンサーの活用
- アクセス流入経路の増加
②CVRを上げるための施策
- サイトの離脱率の改善
- カゴ落ち率の改善
③客単価を上げるための施策
- 顧客の1回あたりの購入金額の増加
- 顧客の購入回数の増加
ECサイトを運用するにも人手が必要なため、全ての要素を一度に上げることは難易度が高いですし、また様々な施策を行ったとしても①~③の要素に反映されるにも少し時間がかかると考えたほうが良いと思っています。
全ての要素を一度に上げれたとしてもそれが継続できなければ、すぐにECサイトの売上は落ちてしまいますので、常に施策を実行・分析・改善できる運用体制も必要になります。
EC売上を上げるための要素/まとめ
- 売上=サイトのアクセス数✕CVR✕客単価 という要素を意識し、数字化する
- それぞれの要素を上げるための施策を行う運用体制を整える
- それぞれの要素を高める施策を行い、運用~改善を行う
まとめ
ざっくりとこれまでの内容をまとめます。
BtoC-EC市場規模は拡大しており、販売チャネルが実店舗からECに移行しており、様々な企業がBtoC-EC市場へ新規参入している
様々な企業が新規参入しているからこそ、他社と差別化を図らなければ、多くのECサイトに埋もれてしまい売上が伸びなくなる可能性があります
ECサイトで売上を上げるためには、
売上=サイトのアクセス数✕CVR✕客単価の要素を意識し、
施策実行~改善 を継続して行う必要がある
今回はざっくりと 業界動向を確認した上で、EC売上を上げるための要素をまとめましたが、実際に戦略作成から実行・改善まで行うことはとても難しいです。情報もなければ、どのように具体的な数字から行動に落とし込むかがわからないという企業が多いのではないかと思います。変化のとても激しい状況ですし、確実な正解がない状況で、自社だけで全て行うことは難しいというお声を多くいただきます。まずは上記の内容を考えた上で一つ一つ改善していくことが一番効果的かなと思います。
自社のECサイトの改善点やお悩みがあるという方や、ECサイトの改修にご興味のある方はこちらからお問い合わせください。