EC運用ディレクターをしていると、いかに売上をあげるかというところが常についてきます。真っ先に思い浮かぶのは、コンテンツを充実させることや、 SNSでのPR、WEB広告などかと思います。もちろん流入を増やすことも大切ではありますが、顧客を増やすという点が大切です。

ECのメリットとしては、24時間365日購入ができ、足を運ばなくてもどこからでも購入が出来る点です。またテナント費や販売スタッフも必要ないので、コストも安くすみます。

デメリットとしては、販売スタッフがいない分、実店舗のようにアプローチができないことがあげられます。
私もアパレル販売スタッフの経験がありますが、お客様が入店されたらすぐにでもお声掛けにいっていました。コミュニケーションも取れるため、ニーズを引き出しご提案することが可能です。ECの場合は、お声掛け(お迎えの挨拶)はもちろん、リアルタイムでユーザーがどの商品を見ているのか、気にかけて迷っているのかがわかりません。ユーザーが購入するのをただ待ってるだけではもったいないですよね。
今回は、そんなECの欠点ともいえる部分をリカバリーするために、WEB接客ツールについて書いていきたいと思います。

 

WEB接客ツールのメリット

導入することでどのような効果が得られるのでしょうか。

 

メリット1:離脱率低下

以下のようなアプローチで離脱率を下げることが可能です。

例)

  • 購入を迷っているユーザーに、利用可能なクーポンを表示させる
  • カートに入れた商品をリマインド(カート落ち防止)
  • ユーザーがサイトを閉じようとした際に「本当に閉じてよろしいですか?」と確認

メリット2:コンバージョン率向上

必要なときにチャットでリアルタイムに回答が可能なためコンバージョン率も向上するでしょう。有人対応の場合は、臨機応変且つ丁寧な対応ができるので更に効果が期待できます。

メリット3:リピート訪問率向上

ユーザーが満足いくWEB接客が受けられることで信頼度もあがります。 買い物しやすいという成功体験(ユーザーエクスペリエンス)を与えることで再度訪問していただけるようになるでしょう。

 

導入コスト

サービスや機能によって様々ですが、月額3万円~10万円くらいの費用が相場です。チャット機能やポップアップ機能の他に、サイト訪問者の自動分析機能やCRMとの連携など機能は様々です。会社によっては「費用問い合わせ」のところも多いため、まずは問い合わせて自社に見合っているかどうか確認しましょう。

※CRM=Customer Relationship Management(カスターマーリレーションシップ マネジメント)の略で、 一般的には顧客管理システムの意味で使われる )

 

WEB接客ツールの種類

WEB接客ツールには、主にポップアップ型とチャット型の2種類あります。


①ポップアップ型

ポップアップ型は、新規訪問のユーザー向けにクーポンを配布したり、リピーター訪問のユーザー向けに再入荷のお知らせを表示させるなど、ユーザーに合わせて出し分けが可能です。

自動的にリアルタイムに表示させられるのがメリットです。新規ユーザーや、リピーター、何回以上訪問したユーザーなど細かく設定できるので、購入率も高まるでしょう。デメリットとしては、ポップアップがうっとうしく嫌いなユーザーもいるため、注意が必要です。

 

②チャット型

チャット型はチャットフォームを表示させ、コミュニケーションを図るものです。チャット型の中でも、実際に人が対応するものや、もともと定型文を設定し、自動的に応答させるチャットボットもあります。

有人対応の場合は、受付時間が限られるデメリットもありますが、実店舗のように細かく対応できるのがメリットです。逆にチャットボットの場合は、24時間対応ができ、人件費も削減ができますが、事前に細かく設定が必要であったり、最終的にはお問い合わせフォームへ誘導など、チャットボットで完結しない場合も多々あると思います。
AIで学習していくタイプもあるようですが、導入費用や月額利用料などは高くなることが想定されます。会社の体制や客層なども含め、サイトにあった選択が必要です。

 

サービス・ 導入事例

■Robee(ロビー)
「既存ユーザーの「解約理由」から課題を発見、解決することで、解約を防止して継続率を向上させます。 」(公式HPより)初期費用0円、月額費用5万円〜。チャットボットとポップアップ両方に対応しています。

ー導入事例

株式会社JIMOS「マキアレイベル」

クレンジングや美容液などを発売している企業です。LPや入力フォームの確認ページでWeb接客施策を実施。 「CVRの改善」と「獲得件数の向上」を目標として、まずはLP(ランディングページ)や入力フォームの確認ページで離脱率を下げるため、離脱時にポップアップを表示。それだけでも LPでは離脱ユーザーがかなり減ったとのことです。CVRも120%改善。


■OK SKY(オーケースカイ)
チャットに特化しています。「WEBチャットツール」の他に「自動応答チャットAI」があり、 各種AIエンジンへ連携し、チャットBot構築ができます。既存FAQデータからチャットBotを構築し、顧客応対を自動化します。

ー導入事例

株式会社ナノ・ユニバース 「ナノ・ユニバース公式通販サイト」

接客面・お問い合わせ面に課題を感じ導入。チャットボットを導入し、カスタマ―サポートの範囲を拡大。24時間稼働することにより、更に顧客満足度を目指している。

 導入後の効果)

  • 「OK SKY」経由の購入率 15%〜20%UP
  • 購入単価 約2倍UP
  • 年間購入回数 約1.7倍UP

 

■KARTE(カルテ)
チャットボットやポップアップの他にも、色々な機能が存在。設定や運用が複雑にセグメントできるため、高機能ではありますが、リテラシーの高い向けです。初期費用・月額料金ともに公式サイトより問い合わせが必要。

ー導入事例

株式会社ストライプインターナショナル 「STRIPE CLUB」

「earth music&ecology」「AMERICAN HOLIC」 「koé」 などを展開する企業です。サイト分析を行いたいが、エンジニアなど社内リソースが足りないため、導入を決定したそうです。社内で気軽にサイト改善ができ、社内でノウハウを蓄積できるところもメリット。

 

株式会社パル「PAL CLOSET ONLINE STORE」

「3COINS」「CHAOPANIC」「 Daily russet 」などを展開。ポップアップ機能などの他に、過去に自分が購入した商品とサイズ比較をしたり、セール期間中に価格が変動した際のお知らせを自動的に配信したり、多機能を利用中。



 

最大限に活用するためには

ただ「有名なツールを、高い費用をかけて使用すれば問題ないでしょ」という考え方はNGです。

個人的な意見では、完全自動化をしても顧客満足度をあげることは難しいと思っています。費用やリソースにもよりますが、クーポンやカート落ちなどアプローチする部分はポップアップで完全自動化し、その他ユーザーからの質問や問い合わせについては、うまく自動振り分けもしながら、惜しまず有人対応するのが一番強いと思います。

有人対応の場合も、社内で行うのか、外部に委託するのかなど含め、慎重に検討が必要です。また、オーバースペックすぎても運用が追い付かず、無駄な費用となってしまうことも多いため注意してください。

ポイント

1)社内リソースと予算を確認
まずは自社の人員・かけれる費用を確認してください。

2)ECの弱点(こうなりたい目標)
課題となっているところを明確にしてください。リソース不足の補填であれば特に細かく見る必要はないですが、Googleアナリティクスなどで数値的にも把握することが重要です。ユーザーアンケートをとるのもよいでしょう。どのページで離脱が多いのか、ユーザーは何が不満なのかを明確にし、サイトのどこをフォローしていくべきなのか確認しましょう。

3)導入後のPDCAをきちんと回す
導入すれば、自動的に売上があがるわけではありません。サービスの多くは、データ分析機能が備わっています。導入し、運営した後もユーザーの動向や結果を常にチェックしましょう。常にデータを見るようにし、ボトルネックがあれば改善施策を、伸びている部分があればさらに伸ばしていく施策を考えていきましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
導入後も運用が必要になることが多いので、導入前にしっかりサービスや費用を見比べたり、各社話をきいて導入後のイメージを膨らませることが大切です。

コロナ渦で実店舗も縮小しているブランドさんが多いと思います。これからECに力に入れていきたい!とお考えの方、一度弊社にご連絡ください!

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