みなさんいつも「UXを考えて提案しろ」とか、WEBサイトを運用している人なら「UIを考えてWEBサイトを作れ」なんていつも言われているのではないでしょうか?
また、マーケティングを意識している人なら「CX」なんてよく出てくるので、UX、CSと何が違うの?とかあやふやに理解している人も多いと思います。
今回はそんなあやふやな理解を簡単な言葉で説明したいと思います。
目次
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よく「体験」と説明されるけど体験ってなんだ?
調べてみるとよく出てくる言葉として「体験」って表現されますよね。
体験と言われても良い体験、悪い体験とありますし、結局どんな結果を得るための対策なのか分からないと思ったことはありませんか?
この「体験」という言葉が理解をあやふやにしていく原因なのですが、まず大前提として「対策」ではなく「考え方」なのでただの概念だととらえてください。
そのため、結果も良い悪いではなく、どういう体験、どういう感情を持ってほしいかということが本質になります。
マーケティングと一緒に考えられたり、同じものだと思っていたりする人も多いかと思いますが、マーケティングとは売上を得るための考え(ビジネス)のこと。
そのため「体験」とは売上要素は関係がありません。
CX(カスタマーエクエペリエンス)= 顧客体験
まずはCXについてですが、CXは「顧客体験」。
既存顧客、新規顧客、見込顧客、潜在顧客など多くの顧客がいます。その全てが対象となりますので意識する幅は広くなります。
商品購入で例えると車の販売などイメージがしやすいかもしれません。
車が欲しい人(見込顧客、潜在顧客)に対して販売員が営業活動をします。購入者との信用を築き、購入します(新規顧客)。
しかし、購入後もメンテナンスや車検、イベントなど長期にわたり関係性を築きます。そして購入者の車が乗り換え時期に達した際にはそのタイミングでまた次の購入を促します(既存顧客)。
そのようなサイクルをまとめて『CX(カスタマーエクスペリエンス)』と言います。
長期的に考えるため「感情的な価値」を生み出すことができます。
CXで得られる「感情的な価値」とは
経営学者バーンド・H・シュミット氏(CXを提唱した人)は感情的な価値を「Sense(感覚的価値)」「Feel(情緒的価値)」「Think(知的価値)」「Act(行動、ライフスタイルにかかわる価値)」「Relate(社会的経験価値)」の5つに分類しています。
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Sense(感覚的価値)
美味しい、触り心地がいいなど五感で感じるもの
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Feel(情緒的価値)
嬉しい、悲しい、楽しい、感動などの感情や内面
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Think(創造的・知的価値)
好奇心、知的欲求を満たすもの
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Act(行動、ライフスタイルにかかわる価値)
今までにない体験、新しいライフスタイル
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Relate(準拠集団への帰属価値・社会的経験価値)
特定の集団に属することでの特別感など
CXのメリット
CXは長期的に考えるため既存顧客が増えます。そのため、メリットも長期性のある結果がついてきます。
・乗り換えの減少
・リピーターの増加
・ブランドイメージの向上
・認知の向上
・口コミ効果
UX(ユーザーエクスペリエンス)= 利用者体験
さて、UXとは「利用者体験」。ユーザー体験です。
ユーザー体験といわれると「サービスを受けた時」「モノを使った時」「料理を食べた時」などイメージもしやすいのではないでしょうか。
元来、UXは物(人工物)を使うことに対してのみの体験という考え方でした。
しかし、今では物=サービスという考え方が主流となり、多くの企業、業種の提供する事柄に置き換えられて使われています。
ではUXとはどういうことか。
みなさん「レビットのドリルの穴理論」など聞いたことがあると思います。
「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である。」
これがビジネスならば穴が欲しい人が多いところでドリルを販売するでしょう。
しかし、UXの場合は女性でも使いやすいドリルを作る。ドリルではなくても簡単に穴が掘れるサービスを考える。となってきます。
What?ではなくWhy?。
一つの目的をどう実現させるかということがUXとなります。
UXは身近にある?
昨今、皆さんの身近にもたくさんのUXはあります。
LINEなど、電話は嫌だけどメールより短くレスポンスの良いやりとりがしたい。
メルカリは今まで個人では販売をするのも難しかったけど、個人で直接販売したいニーズに対応しました。
私個人としては「3rd Place」は衝撃的でした。スターバックスのコーヒーを売るのではなく、第三の場所を提供するという考え方です。
自分でもどんな理由で喫茶店に入っていたかと考えると、くつろいだり、時間を潰したりという理由で入ることが多かったことに気がつきました。
言われればわかるけど、意識はしていないことって多いんです。
UXのメリット
UXはCXとは異なり、その短期性で移り変わるニーズへの対応がしやすいため新しいことを生み出しやすくなります。
・他社との差別化
・環境に応じた対応
UI(ユーザーインターフェース)= 利用者接点
UIとは「利用者接点」。
その名前の通り、ユーザーとの接点全てを指します。
接点っていわれてもタッチパネルとかイメージしてしまいますが、
・企業とユーザーの接点
・サービスとユーザーの接点
・デザイン(見た目的なデザイン)
などなど広範囲で考えておくと良いと思います。
よく耳にするユーザビリティ(使いやすさ)などもUIの一部となります。
UIとUXは何が違うのか
UIとUXはよく一緒に使われることが多いですよね。
UXはユーザー体験、体験してもらうためには接点が必須になります。そのため、UIがないとUXは達成できませんし、UXデザインがしっかりできないとUIも無意味なものになってしまいます。
具体的にはスマホ画面などの押しやすい大きさのボタンや見やすい表示。
店舗では入りやすい入り口や、居心地のいい音楽などあげたらキリがないですが、それもUXがあってこそのUIといえます。
ついでにCSとは?
CSもCXと混同してしまうかもしれません。
CS(カスタマーサティスファクション)とは「顧客満足」。
ちょっと前に重要視されていた「顧客満足度を向上させる」という取り組みです。
顧客満足度を数値化して向上させることが手法になります。
しかし、結果として過度なサービス競争が発生し、自分の首を絞め合ってしまったため、最近では意識はしているがあまり使われなくなってしまいました。
まとめ:CX、UX、UIの違いと視点
まず「体験」という概念がわかると自ずと違いも見えてくるかと思います。
CXとUXは同じ「体験」ですが、考える範囲に差があります。その範囲の違いによって注視するポイントが変わってきます。
・CXは顧客に価値を感じてもらうこと
・UXはユーザーの目的の本質を汲み取ること
UXとUIは「体験」に必要な「要素」なのでUXの一部となります。
間違えてほしくないことはCX、UXは「体験」という概念であることです。
そのため売上や利益の要素はなく、手段や方法、マーケティングではありません。
しかし、概念のままでは意味がないですよね。そこで体験を実現させるために「CXデザイン」「UXデザイン」があります。
CXデザイン、UXデザインとは実現するための企画や設計を考えたり、さらに体験の質を向上させるためにカスタマージャーニーマップやUXピラミッドを使って考えていきます。
この時点ではまだビジネスではなく、形にするためのデザインになります。
また、そのCXデザイン、UXデザインをビジネスやマーケティングに生かす方法として「CX戦略」「UX戦略」があります。
このCX戦略、UX戦略はデザインと事業を組み合わせることで利益を生み出すビジネスとなります。
私はWEBサイトを作っていますが、PCのリテラシーは普通の人より低いと思っています。
それは私自身がPCを使うのは「理想のWEBサイトを作る」ためであって、PCを使って他のことをすることがないからです。
youtubeを見るわけではないし、音楽を聞きたいわけでもないのです。
(もちろん、目的のために必要なこと、モノは学びますし、使います)
自分自身に置き換えて考えてみると目的の本質って深いところにあるなと実感できると思います。
モノ消費ではなくコト消費とはよく言ったもので、自分の感情を掘り下げて考えてみることでCX、UXは簡単に考えられるのです。
CX、UXはあくまで概念なのでそういう考え方ができるかどうか、ということでしかありません。
でも、少しでも相手のことを掘り下げて考えられたら、いつも何気なくこなしている仕事も、もっと多くの人に喜んでもらえるような画期的なサービスになるかもしれません。