写真に対する見方が少し変わるかも??

恵比寿にある東京都写真美術館で、
8/5まで素敵な展覧会が開催されているのでご紹介します。

恵比寿駅からガーデンプレイスへ向かい、まっすぐと奥へ進むと東京都写真美術館があります。

壁一面に迫力の名作が迎えてくれます。
ロベール・ドアノー の《パリ市庁舎前のキス》1950年
植田正治 の 《妻のいる砂丘風景 III》1950年頃

 

 

さて、目的の展覧会はこちら。

TOPコレクション たのしむ、まなぶ
「イントゥ・ザ・ピクチャーズ」

個人的にこのピカソの写真、大好きです。巨匠。
ロベール・ドアノー 《ピカソのパン》 1952年

 

さて、この展覧会での冒頭のメッセージを引用させていただきます。

“美術館に来ると、いつも作品を見る前にまずキャプションや解説を読み、作品にまつわる情報を先に得てからその作品自体を鑑賞する、という方は多いのではないでしょうか。また、最近では、作品を見てほどなくして、カメラやスマートフォンなどで写真を撮り、次の作品に移動する、という方もいらっしゃるでしょう。(…中略…)ひとつひとつの情報を「確認する」という鑑賞方法になりがちで、チェックが完了すると同時に鑑賞も終わってしまうのではないでしょうか。”

ハッとするメッセージです。
私たちの日常はいつの間にか写真にあふれて、ひとつひとつに立ち止まっていられないくらい豊かになっていることに気がつきます。

つづきは、

ある子供たちのグループが先ほどのドアノーの《ピカソのパン》を鑑賞した時の様子が紹介されます。
まずテーブルに置かれたパンが手のように見える。
人物の額に光が入っていることに気がつき、光の当たっている方向を考えて、人物の視線の向こうに窓があるのではないかと想像します。
テーブルの上には食器が二人分あることから、写真に写らない人物の存在に気がつきます。
背後の棚にあるバスケットから、この家には女性がいると想像し、
さらに壁の一部や左側の壁の黒やボーダーの洋服は、白黒写真ではなかったら何色なのか?と考える。
子供たちは「確認する」方法の何倍もの注意力で、「写真の中」を楽しむ。ということが書かれていました。

そんなメッセージからはじまる展覧会は、
見る人が能動的・主体的に作品と関われるヒントとともに、わたしたちを誘導してくれます。

わたしはアートディレクターとして、ファッションブランドの広告ビジュアルをつくる機会を多くいただいています。
作り手としては一枚の絵の全てを説明できます。
例えば洋服をよりよく見せるため、スタイルはもちろん、イメージ通りの目の色や髪色のモデルを探します。
ひとつ椅子が置いてあれば、そこにはストーリがあります。
モデルの目線の先がどこかで、モデルの意思は変わります。
関わる全てのスタッフのキャラクターと空気感が一枚の写真となります。

 

写真の人物はどんな人だろうか。
なぜそのような様子で、何をしているのだろう。
ここはどこだろう。
なぜカメラマンはそこでシャッターをきったのか。

一枚の写真をいろいろな角度から楽しむコツ、想いを巡らすゆっくりとした時間、
作品に寄り添ってみるということを、この展覧会は、改めて感じさせてくれました。

 

【おまけ】
展覧会を楽しんだ後もまだまだ楽しいですよ。

貴重な古書や海外の写真集、センスのいい雑貨がワクワクする2FのギャラリーショップはNADiff BAITEN。
1Fには、サンドイッチやキッシュが美味しいパン屋さん、MAISON ICHI。

なんと、展覧会中は、あの《ピカソのパン》も♡

TOPコレクション たのしむ、まなぶ
イントゥ・ザ・ピクチャーズ
2018.5.12(土)—8.5(日)
東京都写真美術館
休館日:毎週月曜日(ただし7月16日(月・祝)は開館、7月17日(火)は休館)
料金:一般 500(400)円/学生 400(320)円/中高生・65歳以上 250(200)円
https://topmuseum.jp

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